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【制度紹介】自然災害ガイドラインの新型コロナ特例措置

2020年12月1日から、従前運用されていた自然災害ガイドラインの一部を新型コロナウイルス感染症(以下単に「コロナ」)により収入が減少し、債務の返済が難しくなっている方についても適用される制度が始まっています。

 

今回は具体的にどのような場合に制度を利用でき、どのような解決となり得るのかをご紹介したいと思います。

なお、前提として、このコロナ特例の適用が可能かどうかは個々の状況に応じて判断されるものですから、利用を検討している方は最寄りの弁護士会等に相談してみてください。

 

1.債務の内容

 

コロナ特例で対象としている債務は次の2パターンです。

① 2020年2月1日までに負っていた債務(既往債務)

② 2020年2月2日以降から2020年10月30日までに負った債務のうち、コロナの影響による収入・売上減少に対応することを主な目的として次のような貸付等を受けたことに起因する債務

ア 政府系金融機関の新型コロナウイルス感染症特別貸付

イ 民間金融機関における実質無利子・無担保融資

ウ 民間金融機関における個人向け貸付

 

あくまでも「ような貸付等」ですから、必ずしも上記に限られません。

 

 

一般社団法人自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関(以下「運営機関」)が公表しているQ&Aでも、次のように述べています。

 

Q.2-1『対象債権者』とは、どのような債権者を指すのですか。
A
『対象債権者』とは、 特定調停 手続 により 本 特則 に基づく債務整理 が成立した場合に、それにより権利を変更されることが予定されている債権者であり、その範囲は、主として金融機関等の債権者である銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農業協同組合・漁業協同組合・政府系金融機関・信用保証協会 、農業信用基金協会等及びその他の保証会社 (以下「保証会社等 」といいます。) ・貸金業者(貸金業法 (昭和 58 年法律第 32 号) 第 43 条によって貸金業者とみなされる、みなし貸金業者も含まれます。)・リース会社並びにクレジット会社のほか、既存の債権者から債権の譲渡を受けた債権回収会社(サービサー)なども含まれます。
また、『本特則 に基づく債務整理を行う上で必要なとき』は、金融機関等以外の債権者も含まれます。これに該当する場合としては、本ガイドライン第8項 ( ①ハにより債務整理の申出の時点において保有する自由財産を除く全ての資産を換価・処分して弁済に充てる内容の調停条項案を作成する場合 は勿 論、その他にも、対象債務者及び金融機関等である対象債権者が、登録支援専門家の支援を受けつつ協議した上で、多額の債権を有する金融機関等以外の債権者が存在するなどにより、金融機関等以外の対象債権者を含めることが妥当であると認められる場合等も『本 特則 に基づく債務整理を行う上で必要なとき』に該当すると考えられます。そうした場合、例えば、住宅 貸付け を行う共済組合や、取引債権者等も含まれることとなります( ただし 、これらに限られません。)。
【関連条文:第2項 ( 、 第3項 ( 、第8項 ( 、特則 第 5 項 ( 】

 

Q.3-8 債務整理の対象となる借入が、カードローン・消費者金融借入のみの場合でも、 特則 の利用は可能ですか
A
新型コロナウイルス感染症 の 影響により 本特則における対象 債務を返済できないなどの場合は、利用が可能と考えられます。なお、債務整理の対象となる借入れには、自動車のローン、住宅のリフォームローン等も含まれます。
ただし、破産手続における免責不許可事由(破産法第252 条第 1 項第 10 号15を除きます。)に相当する事実がある場合など、対象となる債務者の要件をを除きます。)に相当する事実がある場合など、対象となる債務者の要件を満満たさない場合もあり得ます。

 

ただし、重要な点があります。

 

それは、

2020年2月1日の時点で、期限の利益を喪失していないこと です。

 

もし期限の利益を喪失し、一括払いをせよ、という通知がきているような場合、原則として、この制度は使えません。

 

ただし、原則には例外がつきもの。

 

期限の利益を喪失した債務の債権者が、それでもいいよ、と同意してくれれば、この制度を使うことができます。

 

自分も使えるのか悩んでいる方は、まずはメインバンクや弁護士に相談してみてください。

 

 

2.信用情報(ブラックリスト)に載らない

 

破産や民事再生と異なり、信用情報には登録されません。

ただし、この制度による債務整理が途中でうまくいかなくなったり、調停が成立した後に返済を怠ったりした場合には登録される可能性があります。

 

 

3.残せる資産

 

基本的には、破産法上認められる自由財産の範囲と考えていいのではないかと思います。

ただし、生活の再建に必要な現預金等を留保するという観点が求められているので、債務者によっては破産法上認められる範囲を超える資産を残せる可能性があります。

 

4.住宅ローンの取扱い

 

民事再生法で認められている住宅資金特別条項を含めた調停案が可能になりました。

 

自然災害ガイドライン(本則)では、住宅は壊滅していたり価値が著しく減損しているため、住宅ローンについては敷地の価値だけ弁済して残りは免除という方法があり得たのですが、コロナの場合は住宅の価値は減損していません。

 

そこで問題となるのは、圧縮された残債務は原則5年で分割弁済するという点と、清算価値保障原則の観点です。清算価値保障原則とは、現在の資産を換算した場合の価値以上の支払いをしなければいけないというものです。

 

コロナの場合は不動産の価値が減損するわけではないので、高額な不動産の評価額以上の価値を原則5年で分割返済しなければならないということになってしまいます。これでは債務整理をする方がかえって分割払いの金額が高くなってしまい、本末転倒になる可能性があります。

そこで、コロナ特例では、民事再生法にいう住宅資金特別条項を設ける形の債務整理の方法を認めています。

この方法によれば、住宅ローンについてはそのまま支払いを継続し、それ以外の債務についてのみ圧縮して5年で返済をするという弁済計画が可能になります。

 

 

5.保証債務への影響

 

この制度を利用した場合、原則として、保証人に対して保証債務の履行を求めてはいけないことになっています。

具体的な事情によっては保証人に保証債務の履行を求めることもあり得ますが、多くはないと思われます。

 

6.手続の方法・費用

 

最も借入れの多い金融機関等に、この制度を利用したい旨の申し出をしてください。

当該金融機関等が、この手続に着手することに同意した場合(原則同意しなければなりません。)、運営機関を経由して各弁護士会等に連絡がいき、弁護士会等が支援専門家に連絡をして、支援の委嘱がなされます。

その後は、支援専門家の指示・助言に従ってください。

なお、債務者側において、支援専門家を選ぶことは認められていません。

 

支援専門家の費用は、運営機関から支援専門家に支払われますので、債務者本人が負担することはありません。

ただし、調停申立時の印紙代や各種の証明書(住民票等)の取得費用等はご自身の負担になります。

 

債務整理の計画が出来上がり、債権者全員の同意が得られる見込みになった後は、簡易裁判所に特定調停の申立てをします。

 

調停には債務者ご自身が出席してもらうことになります。

支援専門家も裁判所が必要と判断すれば出席できますが、必ずしも出席できるわけではありません。

なお、自然災害ガイドラインの場合の特定調停では、基本的には支援専門家も調停に同席しているようです。

コロナの場合にどのような運用になるかはこれからです。

 

 

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