財産開示手続の拡充
離婚時に養育費について調停が成立したのに
しばらくしたら支払われなくなってしまった
このような方は非常に多いと思います。
一番の問題は、支払義務者の財産がどこにあるのか、どのような財産があるのか分からず
強制執行(差押)をしようにもできない、という点にありました。
従前から財産開示手続というものがありました。
裁判所が支払義務者を呼び出し、その財産について説明(陳述)させるというものですが、十分に活用されてきませんでした。
この制度をより活用できるように、令和2年4月1日から、財産開示手続が拡充されたのです。
1 申立権者の拡大
従前は公正証書で養育費の支払いを定めていても財産開示手続を申し立てることはできませんでしたが、今回の改正により金銭債権の強制執行ができる人(債務名義を持っている人)であれば財産開示手続を申し立てることができるようになりました。
2 罰則の強化
改正前は、裁判所からの呼び出しに対して正当な理由なく出頭しなかったり、宣誓を拒んだり、正当な理由なく陳述を拒んだり、虚偽を述べたりした場合、30万円以下の「過料」にとどまっていました。
改正後は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となり、罰則が強化されました。
「過料」は「科料」と異なり刑罰ではないので前科にはなりませんが、改正後は懲役刑または罰金ですから前科となります。
3 公示送達が認められた
改正前は、支払義務者(開示義務者)の所在が不明であっても公示送達は行わないこととされていました。
改正後は公示送達が認められることになりました。
2020.9.2追記
法施行前の2020年2月時点における東京地裁民事執行センターは、改正後の運用方針として、公示送達を認めることとした(「改正民事執行法における新たな運用と実務11頁」(日本加除出版株式会社)。
法施行後に同センターに公示送達実施の有無につき問い合わせたところ、実際に行った例もあるということである。
なお、公示送達をするか否かは各地方裁判所によって運用が異なっている可能性があるため、実際に申し立てる際は前もって各裁判所に問い合わせる必要があるだろう。 |
これによって何が変わったかというと、別にお話する情報取得手続に関連してきます。
今回の財産開示手続の改正は新たに設けられた情報取得手続のためといって過言でありません。
養育費についても時効が存在します
養育費の不払いでお悩みの方は新しい制度を利用することができるかもしれませんのでお早めにご相談ください。
相談時にあった方が望ましい書類
・戸籍謄本・附票
・住民票
・養育費に関する書面(調停調書、公正証書等)
・支払義務者の勤務先が分かる資料等
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