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早く離婚すると養育費が減る!?

このタイトルに違和感を感じた方もおられるかもしれません。

もらい始めるタイミングが早ければ早いほど、総額が多くなると考えるのが通常ですよね。

 

 

それでは、最終的にもらえる養育費の総額について考えてみましょう。

 

生活指数が同じ場合

 

 

例えば、10歳の子と12歳の子がいる場合で、養育費月額が4万円だとします。

この場合、どちらの子も生活指数(生活指数については「養育費の計算方法・基本編」をご覧ください。)は同じですから、4万円の内訳は2万円ずつです。

 

養育費の支払期間を20歳までとしたときは、上の子が20歳になると上の子への養育費の支払いは不要となり、下の子についての2万円のみとなります。

 

 

生活指数が異なる場合

 

 

それでは、14歳までと15歳以降の子がいる場合に、上の子が20歳になった後はどうなるのでしょうか。

 

この場合は14歳以下の子の生活指数62と、15歳以降の子の生活指数85を使ってそれぞれの養育費の内訳を計算することになります。

 

例えば算定表から養育費の月額が4万円の場合には次のようになります。

 

上の子:4万円×85÷(62+85)=2万3130円

下の子:4万円×62÷(62+85)=1万6870円

 

したがって、上の子が20歳になった後は、下の子についての1万6870円を支払っていくことになります。

 

以上を前提として、上の子と下の子の年の差が大きく離れている場合について考えてみましょう。

必ずしも妥当とは言い難い状況になることがあります。

 

 

逆転現象

 

 

例えば、上の子が19歳で下の子が10歳の場合で、養育費の月額が9万円とします。

 

支払期間は便宜上20歳までとします。

 

義務者の年収は約620万円、権利者の年収は約350万円とします。

 

 

以上を前提に上記のように生活指数から内訳を計算すると、

 

上の子:5万2041円

下の子:3万7959円

 

1年後、上の子が20歳になると上の子への養育費の支払いはなくなり、下の子が20歳なるまでの残り9年間は毎月3万7959円ずつ払うことになります。

ちなみに、この場合の養育費のトータルは517万9572円となります。

 

 

しかし、上の子が20歳になった後に離婚した場合はどうなるでしょうか。

 

実は、算定表の考え方をそのまま適用すると、後で離婚した方が養育費の支払総額が増えてしまう可能性があるのです。

 

上の子が20歳になった時、下の子は11歳です。

上の子に対する養育費の支払いはないとして、11歳の子一人に対する上記の年収による養育費は、算定表上では6万円ぐらいになるでしょう。

したがって、養育費の支払総額は、648万円(6万円×12か月×9年)となります。

 

お分かり頂けましたでしょうか。

 

算定表の考え方をそのまま適用してしまうと早く離婚した場合のほうが、支払総額が130万円以上(648万円-517万円)も少なくなるのです。

 

 

このような不合理な結論になってしまう場合、内訳の金額を変えたり、上の子が20歳になった後の下の子に対する金額を増額させたりするなどして調整する必要があるのです。

 

 

少しでも気になった方はまずはご相談を

 

内閣府も、令和元年11月に「子供の貧困対策に関する大綱」を発表し、その中で「養育費確保の促進」を掲げ、養育費の取り決めの重要性について記載しています。

 

経済的に苦しい生活となると子の教育にかけられる費用も相対的に少なくなり、子の進学・就職に影響を与えることがあります。

貧困の連鎖という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

経済的に苦しいと子の進学や就職に影響が生じ、その子が親になったときにはまたその子が貧困となり連鎖していくというものです。

この連鎖を断ち切ることが重要であり、そのための一つとして養育費の確保が重要なのです。

 

離婚さえできればいいと一時の感情で決めてしまうのではなく、子の将来のためにも、お電話頂ければと思います。

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